令和の神 新作展 GOD OF REIWA
Share
古来より日本人は、「あらゆるものに神が宿る」という感覚を大切に育んできた。山や川、海、木や石、風や火といった自然の営みはもちろん、道具や人の暮らしのなかにある出来事までも、神の存在と重ね合わせてきた。自然現象は雷神や風神、山の神として捉えられ、日々の生活に関わるものは竈神や田の神として祀られてきた。また人間の営みや感情も、芸能の神、学問の神、縁結びの神といったかたちを通して表され、目には見えない力やつながりを感じ取る手がかりともなった。
こうした八百万の神々の世界観は、明確な教義に支えられた信仰というよりも、自然や社会と穏やかに折り合いをつけながら生きていくための感受性として、日本人の精神文化の底流を形づくってきたともいえる。そして、その曖昧さや重なり合いは、美術表現においても豊かな想像力を呼び起こし、時代ごとにさまざまな「神のかたち」を生み出してきたのだ。
2月にそごう広島店で開催される「令和の神」展は、そうした日本的な神観を、現代の視点からあらためて見つめ直す試みだ。本展には、千住博、手塚雄二、西田俊英といった現代日本画を代表する作家をはじめ、岩田壮平、加来万周、瀧下和之、野地美樹子など独自の表現で注目を集める画家、さらに川﨑麻央、岩谷晃太、玉井伸弥、丁子紅子といった新世代の精鋭たちが名を連ねる。
そこに描かれる神々は、古典的な図像を踏まえながらも、決して過去の再現にとどまらない。むしろ現代社会に漂う不安や希望、自然との距離感、人の心の奥に潜む感情の揺らぎといったものが、神の姿を借りて静かに立ち現れているようにも感じられる。本展は、神を描いた絵画を通して、現代を生きる私たち自身の感覚や世界の捉え方に、そっと問いを投げかける場でもある。令和という時代に、神はいかなる姿で現れるのか。その気配に耳を澄ますための、穏やかで奥行きのある時間が、ここに用意されている。(編集部)
【令和の神 新作展】
会期:2月3日(火)~9日(月)午前10時~午後7時30分最終日は午後4時閉場
会場:そごう広島店 8階美術画廊
【秀麗会】
会期2月20日(金)~24日(火)午前10時~午後7時30分最終日は午後4時閉場
会場:そごう広島店2階=特設会場☎082(512)7 3 3 8〈美術画廊直通〉
【出品作家】
千住博/西田俊英/手塚雄二/岩田壮平/加来万周/瀧下和之/野地美樹子/川﨑麻央/岩谷晃太/北澤龍/古家野雄紀/平良志季/玉井伸弥/日月美輪/丁子紅子/林銘君※順不同

千住博:ウォーターフォール 8号丁

丁子紅子:神華。4P

瀧下和之:七福神 宝船。 10P

日月美輪:虹雲の龍 20F

玉井伸弥:旭日神鹿図 6M

加来万周:飛瀧神 6M
――月刊美術2026年2月号より転載