紗久楽さわ《車浮世著『気散じ北斎』装丁画》
¥66,000 税込
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サイズ A2(59.4×42cm)
技法 デジタルプリント
限定刷部数(ed.)5
[エディション番号は選べません]
2024年制作
【江戸漫画の革命児・紗久楽さわが北斎と写楽をオマージュ】
車浮代著『気散じ北斎』(実業之日本社)の装丁画として描いた作品です。
小説の顔となる装丁画ということで、完成された北斎の浮世絵を引用するよりも、小説の中で成長していく「北斎自身の人生の過程」と重ね合わせた「未完成の線画作品」を散らばらせたく、線画の下絵や墨のみの作品を引用しました。北斎「神奈川沖浪裏」「北斎漫画」「北斎肉筆画」などのオマージュとなっています。
【北斎、娘の応為、そして写楽作品が醸し出す江戸浮世絵の世界】
実際の北斎作品の完成品を引用はしませんでしたが、全体を包む「藍色」の色味はいわゆる『北斎ブルー』とよばれる『ベロ藍』を使用した浮世絵独特の藍色のグラデーションを彷彿とさせたい、再現したいという気持ちがありました。浮世絵の印象がそこで湧き上がればと。
また娘の葛飾応為の作品性も同時に表現したい、同居させたいと思い、彼女の作品の特徴でもある「光と陰」の表現を明確に入れるため、応為から北斎に向けて陰を落としました。
画中の北斎・応為親子の着物の色合いは、実際に応為が描いた美人画の着物の色味を参考にしました。 自分の感性だけでは選ばないグレイッシュな渋い色合わせが江戸の渋好みの風合いが出て気に入っています。
北斎の絵の中に一枚だけ写楽の絵が混ざっています。 それを描いた意図を、ぜひ小説を読んでいただき、そしてまたこの絵を見て、感じて貰えたらと思います。
【 画を通して北斎の思考が私の心を突き動かした】
北斎は、野生味や感覚や衝動だけの作家ではなく、とてもよく考えて、溢れてとめどない創作意欲と「画」に向き合っていた人だなと感じています。
いろんなものになりたく、いろんなものを描きたく、この世に興味が尽きなく、この世の構造が知りたく、全部「画」にして手中に収めたいと、ずっと思っていたのかなと感じます。でもずっと、世界は「画」には描ききれず・収まりきらないとも分かっていて、それでも描くのをやめられなかったのかなと。
目には見えない事象を描きたい、風も描きたい、動きも描きたい、止まっている「画」には描けないものを、彼はたくさん描きたかったと思います。そこにあるものは、全て。
画風も変わり、名前も変わり、住居も変わり、描くものも変わり続ける。 変わることにおそれがなく、然して同じところにずっといるのはこわいと感じているような人間は、とても愛おしくはないでしょうか。 私自身はそこまで絵に執着はありません。
彼のような絵師のタイプでは自分はまったくないとわかります。わかるからこそ、彼の「画」はとても輝いて見えます。 彼の「画」を通して感じることができる彼の思考が、私の心をとても突き動かすのです。
今回、自分がこんなにもずっと北斎のことがまだまだ好きで、いまだに現代の人間に影響を与え続ける彼の作品を、まったく新鮮に、見るたびに「美しい」と感じることを発見しました。 (紗久楽)
Sawa SAKURA
大阪府出身。平成生まれ。2008年から江戸時代の浮世絵師たちを描いた「猫舌ごころも恋のうち」を自身のウェブサイトに公開、2009年に書籍化される。繊細で色気あふれる絵柄は人気を博し幕末の歌舞伎を題材にした漫画『かぶき伊佐』で連載デビュー。代表作『百と卍』はボーイズラブ作品としては初めて、2019年の「第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」優勝賞を受賞。現在発行部数60万部突破。翻訳版も多数出版されている。
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